ブランキ『天体による永遠』のこと



岩波文庫白、オーギュスト•ブランキの『天体による永遠』読みました。

最初宇宙論だとか、革命家の不思議な文章と前置きが多かったので、内容は完全な宇宙論かなと不安だったのですが、思った以上にそんなことはなく、革命家魂炸裂な感じで、唯物論的な自己解釈の本、決意表明の論述のように読めました。




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フランス革命時代の革命家、オーギュストブランキの『天体による永遠』を読む。解説が100pくらいあり、ニーチェとかを引き出してエライ本だエライ本だと訳者さんが発狂していた。たしかに熱い本ではありました。でもエライこと言いたいからってなんでも昔のエライ人引っ張るのはかわいそうだ
■00:37:52



ニーチェキルケゴールが好きみたいな人はダメだと思う。ニーチェキルケゴールも、なぜ歴史に残っているかというと、その引きこもりっぷりが時代を超えて笑えるからで、エライことになってるのも、あいつなんかおもしろいからみんなの前で一発ギャグやらせようぜみたいな雰囲気が時代を越えてるだけ
■00:43:00



『天体による永遠』の趣旨は、宇宙が無限なら、全く自分と同じ自分が、自分がこれまで送って来た時間と死ぬまでの時間すべての間の分だけ、つまりこれも無限数無限にある地球にいることになる、そして宇宙は無限にそれを繰り返すことになる、というもの。一応宇宙論ということでそこには主張なし…
■00:49:12



ただこの時期ブランキという人はザロックがヒルトンホテルに思えるようなところに幽閉されて、毎晩夜空の星を見上げながらこれを書いたらしい。そこで革命家魂みたいな、一種のやってやる感がこの本の言い回しに込められているのがわかる。でもこれは自分宛な感じで、そこがまた革命してるっぽい
■00:51:57



それを訳者さんがニーチェ永劫回帰につなげたり、ベンヤミンが褒めたみたいなことを言ってやたらにエライ本にしようとしている。そういうエライというよりはルソーの散歩者とか、もっと散文的な俺は誰だろう的な本だと思う。
■00:55:05



ベンヤミンとか、日本の映画評論家の有名な人(蓮見なんとか)みたいな、難しい文章を書いて自分が何もわかってないことを隠し、それでおまんま食べ食べしようとするような人達は信用できない。
■00:57:08



でもこの本は本当に熱い!運命とかそういうのではなく、たとえ全宇宙の全地球で俺がここに幽閉されていたとしても、この俺だけは自分の信じた道をやってやる!みたいな気合いがすごい。フランス革命はやっぱりすごかったことがわかり、また後半堪えきれずに人の悪口書き出してるのも笑えました。
■01:01:44



ただトクヴィルフランス革命実録本にもブランキは出ているのですが、トクヴィルにはよくわからないおっさんと一蹴されており、また本の内容からもそう言われたあとに捕まって幽閉、この本を書き出す流れな様子。黒服黒手袋をいつもしていて、体は臭かったらしい。
■01:04:29



こういう熱い本をニーチェとかと一緒にするのはよくないと思う。この人は革命家だから、一応社会に向けてやるぞ!という感じがあるけど、ニーチェは落ちぶれ貴族ぼうやのメルヘン的おじさん化以外の何者でもない。




なぜかニーチェをディスってしまいました。いつか全集全部読みます。